私の少年

この世界は美しい

映画『忘れないと誓った僕がいた』感想。【僕は忘れないよ】

映画『忘れないと誓った僕がいた』を観た。

忘れないと誓ったぼくがいた [DVD]

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主演の少年役は村上虹郎さん、ヒロインの少女役は早見あかりさん。二人とも映画全体を通しての爽やかで甘くて青くて疾走感のある雰囲気に合っていて非常によかった。
※以下ネタバレ

出会い

村上虹郎さん演じる高校3年生の葉山タカシは、進路に悩む普通の男子高校生。部活に打ち込むわけでもなく将来特にやりたいことがあるわけでもなく、なんとなく毎日を無気力に過ごしたまま高校生活最後の夏休みを迎えようとしていた。そんなある日の夜、レンタルDVDを返却すべく自転車を走らせているとタカシはある一人の少女に出会う。彼女は意味ありげにタカシを見つめるもののすぐに走り去ってしまった。翌日学校でたまたま彼女に出会い、タカシは彼女が同じ学校の同じ学年の生徒だったと初めて知る。

まず、村上虹郎さん演じる葉山タカシはド平凡な高校生だ。少し根暗だがまぁそこそこ友達もいるし家族も仲良いし、普通に幸せな生活を送るTHE普通の少年。だが、そこを村上虹郎さんが演じることによってアンニュイで独特な空気感が漂っていて一気に引き込まれた。その独特な空気感を出しながらも、高校生の男の子らしいまっすぐなところや少し馬鹿なところはうまく使い分けされていてやっぱり凄いなと思った。虹郎さんは役柄のその時々や場合における目や声色や表情の色彩の違いをわかりすぎている。わかりすぎているから演技も自然だし安定してるし、なのに「この子はすぐにどこか消えそうだし触れたらバラバラに壊れてしまいそうだ」という未完成感も含んでいて、そういうのが虹郎さんが人を引き込む要因だろう。

そしてついでに言うと村上虹郎さんは当時18歳。今よりも少し華奢であどけなさが残る虹郎さんは、はちゃめちゃにかわいい。しょっぱな廊下にしゃがんでいるタカシはまるで捨てられた子犬(それも小型犬)だし、ヒロインの少女に出会った時のたどたどしさの溢れる童貞感たまらないし、いちいち私服がちょいダサいし、とにかくかわいい。かわいい。


彼女の秘密

タカシが名前を聞いても一向に答えてくれなかった彼女は「忘れない?」と不安げに聞いてくる。タカシはよくわからず少し不思議に思いながら「忘れるわけないさ」と彼女を安心させるように言った。彼女の名前は織部あずさ。タカシはもっとあずさのことが知りたいし、あずさに近づきたい、確かにあずさに惹かれていた。思えばあの夜出会った日、タカシの一目惚れだったのかもしれない。なのにどこか感じる違和感。同じ学校で同じ学年の生徒なはずなのに、誰も彼女のことを知らないのだ。そしてあずさはタカシに自分が抱える「秘密」について語る。それはあずさは翌日には出会った人たちの記憶からは消えてしまう、ということだ。1日で誰からも忘れられてしまうから、誰も自分のことを知らないのだ、という。最初、タカシはあずさの言うことを信じなかった。しかし確かに翌日には周りはあずさのことを忘れていた、元からいない存在となっていて、あずさの秘密を信じざるを得なかった。


あずさは、どれだけ寂しかったのだろう。色んな人から毎日忘れられ続け、自分はいなかったものとされ続け、どんなに親しかった人にもいつもいつも「誰?」と怪訝そうな顔をされる。自分だけが進めなくて、自分だけが抜け出せなくて、自分だけがずっと残ったままで、あずさはきっと一人ぼっちだった。でもタカシは1日、2日、3日…と経っても自分のことを覚えていてた。タカシはあずさの「特別」だった。一人ぼっちで暗くて狭くて深いところから手を差し伸べてくれたのはタカシだった。あずさはこれまで誰にでも忘れられ続け、その度に傷つき、自分は一人なんだと痛感してきた。でもタカシは出会うたびいつだって「あずさ」と呼んでくれた。その度にたまらなく嬉しそうな表情をするあずさがめちゃくちゃに可愛い。


薄れゆく記憶

恋人同士となったタカシとあずさは、ひとつひとつまるで記録を残すように思い出を増やしていく。周りの誰があずさを忘れようと、タカシはいつまでもあずさのことを忘れない。そうお互いに信じあってでも心のどこかで本当にそうなのか、と臆病になりながら2人は生きていく。そんなある日、タカシの中で「記憶の違和感、不一致」が起こった。冷蔵庫にある誰が買ってきたかわからないケーキ。これは確かに葉山家へのお土産としてあずさが買ったものなのだが、タカシは全く覚えていなかった。ついに、タカシさえもあずさのことを少しずつ忘れていってしまうのだ。徐々に薄れゆくタカシの中のあずさの記憶。ショックを受けるタカシ。そしてそのことに気がついてしまうあずさ。


ついにきてしまった。タカシの記憶からもあずさは消えようとしてしまう。ずっと一人ぼっちだったあずさを救ってくれたタカシ。そんなタカシからも忘れられてしまったらあずさはどうなってしまうのだろう。それはタカシ自身もその薄れゆく記憶の中で感じていた。自分の中からあずさがいなくなってしまえば、またあずさは一人ぼっちになってしまう。タカシは必死に運命に抗おうとする。忘れたくない。絶対に俺は織部あずさを忘れない。

このへんからもう大号泣必至ですわ。いや辛すぎません?好きな人が少しずつ自分を忘れていくなんて。でもタカシは忘れないように忘れないようにと努力をしてくれる、好きでいてくれてる、まるでまだあずさはタカシの中に存在してもいいんだよ、と言ってくれるように、なぐさめてくれるように微笑んでくれる。優しすぎる。そんな二人に迫り来る残酷すぎる運命。二人で抗おうとするタカシとあずさ。切ない。無理だ。(大号泣)


衝撃のラスト

ついにもう完全にタカシからあずさの記憶は抜け落ちてしまった。そんな時、タカシがたまたま開いた自分のPCから発見した数々の動画。そこには1年前、高校二年生だった頃のタカシとあずさの映像が映り出されていた。タカシとあずさは1年前も恋人同士だったのだ。タカシは1年前の自分と、仲睦まじそうな知らない少女に困惑する。タカシは動画を見ながら散り散りになっていた記憶のかけらを必死で集めようとする、消え失せていた思い出を取り戻そうとする。その瞬間スマホのアラームが鳴る。「9月1日、恋人の丘にあずさと行く。」これはあずさを忘れる前の自分が必死に残した記憶のピース。でもタカシは「あずさ」のことは思い出せない。思い出せないが、「あずさ」に会いに行かなければならない。きっと彼女は自分を待っている。自転車を全力疾走させてたどり着いた恋人の丘。そこに「あずさ」らしき女性は見当たらない。タカシは忘れないように忘れないようにひたすら「あずさ」と名前を唱えながらその彼女を待ち続けた。そこに現れたあずさ。しかし彼女は自分を「自分は織部あずさの友人で、伝言を頼まれて来た」と嘘をつく。だが、タカシはあずさの顔を忘れてしまっているためそのことに気づかず真に受けてしまい、あずさに会わせてほしいと泣きながら訴える。今、目の前にいるのが「あずさ」だともわからないまま。そしてその彼女が去ってしまった後、タカシはポケットからiPhoneを落とし、ケースが外れ、そこにプリクラが貼ってあることに気がつく。自分と、「あずさ」だった。そこでやっとさっきまでいたあの彼女が正真正銘の「あずさ」だったのだと気がつき必死で追いかける。タカシは彼女の面影を求めて叫びながら夜の街を駆け回るが、もうあずさの姿はどこにもなく、終わりを迎えてしまった。


残酷すぎだ。あずさはきっともうこれ以上タカシの中で「織部あずさ」が存在することはないとわかっていた。だから最後友人のふりをして「ありがとう」という一番伝えたいことを一番好きな人に伝えたのだろし、またどうせ忘れられるのが怖い、だからタカシの前から消えてしまったのだろう。切ない。若い二人は運命に抗えなかった。タカシはきっとまた、あずさのことを忘れて普通に過ごすのだろうけど確かに過ごしたあずさとの「時間」は残っていて、それは誰にも何からも奪われることはないはずだ。

かつて恋人だったあずさに出会い、タカシがあずさにもう一度恋をして、タカシはあずさのことを忘れなくて、これは果たして「偶然」だったのか「必然」だったのかはわからない。わからないが、「出会うたびに好きになってくれてありがとう」というセリフが心に沁みる。かつて最愛の人が自分を忘れてしまった。でももう一度出会った時、彼はまた自分に恋をしてくれた。いつだって深い深い闇の底から丁寧に掬い取ってくれるのは彼だけなのだ。だからこそそんな彼に再び忘れられる恐怖が、あずさは耐えられなかった。

またこの映画の前半部分には色々と伏線が張り巡らされててそれを後半で回収していく。そこは秀逸というか決してわざとらしくはないのに「あぁ、そういうことか!」と心地よく感じれて非常によかった。結果的にはあずさがどこに消えたのかもわからないし、バッドエンドということになるのだが、あまりバッドエンドという感じもしなかった。運命には逆らえないとタカシもあずさもそして私たちもどこかで気づいてしまうし、だいぶファンタジックなこの物語の結末としてはこのくらい残酷的なのもよく似合っていた。たぶんそれは主演の虹郎さんや早見あかりさんの雰囲気のせいもあるかもしれない。

特に虹郎さんの演じるタカシはやばい。確かに平凡なのに圧倒的存在感、彼にしか出せない妙に重々しい空気感、彼こそもどこかへ消えてしまいそうな儚げな雰囲気、、それと共に虹郎さんのビジュアルもよかった。背も低めで華奢で重めの髪型が根暗な少年らしくてそそられる。そそられる以外ありえない。彼は立っているだけなのにまるで誘惑されたように人々は魅了される。時に彼に恋をして、時に彼に母性をすべて吸収され、時に彼を守りたくなる。すごい。恐ろしい人だ。


避けられない運命に向かって、必死にもがこうとする若者二人の姿は切なくて儚くて、美しかった。

映画『忘れないと誓ったぼくがいた』予告編 - YouTubef:id:negapozi:20160816043634j:image


日曜劇場『仰げば尊し』第4話 感想。【お願いだから井川きゅんをいじめないで】



日曜劇場『仰げば尊し』第4話を観た。

先週の第3話では青島、木藤良も心を入れ替え吹奏楽部に入部することとなったところで終わった。そしてこれから本格的に“吹奏楽”をメインとしたストーリー展開へと進んでいくらしい、ということで第4話では樋熊先生の娘、なつき(多部未華子)が教育実習生として吹奏楽部のコーチを務めることとなり、またコンクールを目指して美崎高校吹奏楽部 強化合宿が開催される。その中では副部長井川(健太郎)の葛藤や苦闘、また心を入れ替えた5人と他の部員との関係性の模様などがお送りされる。


第4話感想まとめ
  1. 青島ちゃんと蓮さんの夫婦感MAX
  2. プライドと意地に苦しめられる井川きゅん
  3. 蓮さんが初めて見せた先輩らしい一面
  4. ホルン吹く木部のばぶみがぺろい
と、いったところだろうか。

まず、一つめ。青島ちゃんと蓮さんの夫婦感MAXな件について。

第1〜3話までで見てきた学校生活においても青島ちゃんと蓮さんのニコイチっぷりはもう特に誰も何も言及しないほどの公認のものでありあの二人の“夫婦感”は独特なものである。そんな美しい二人の、二人だけの関係性が顕著に表れていたのが今回の強化合宿だ。
まず、合宿中に行われた息抜き(?)のソフトボール大会のシーンにて。代打として樋熊先生が打席へ立つが、高杢が投げたボールが樋熊先生の下腹部に当たり、軽く乱闘騒ぎとなる。部員全員で騒ぎあっているその場へ蓮さんも足を運ぼうとするのだが、それを見た青島ちゃんは「やらせとけよ」と蓮さんを引き止める。

・・・え?
青島ちゃん・・・なぜ引き止めた???

そう、もちろんそれは自分だけを残して蓮さんがそのわちゃわちゃへと消えて行ってしまうの寂しいからである。(独断)   お前はいつもみたいに俺といっしょに一歩下がって見てればいいんだよ、という青島ちゃんの一種の独占欲である。(偏見) そう、青島ちゃんはちょっぴり亭主関白なのである。
( ※そして余談だが青島ちゃんもなにげにちゃんとソフトボール大会に参加しているし、樋熊先生がデッドボールを食らったとき少し心配そうに驚いた顔をしたり、明らかに樋熊先生のことを好きになっているのがかわいい。何なら部で一番樋熊先生を尊敬している『第一樋熊チルドレン』と言っても過言ではない。)
次に注目のシーンは、合宿中二日目の朝。樋熊先生による寝起きドッキリである。
決して広いとは言えない一部屋に男子高校生5人が布団を犇めき合って寝ている姿はまさに合宿といった感じであり、まずそこに普通に萌える。そして当たり前のように青島ちゃんと蓮さんはお隣同士だ。そこには何の疑問もない。むしろここにきて二人が隣同士で寝ていなければ「なにかあったのか?」と心配してしまうほどには青島・木藤良夫婦に毒されている私である。注目なのはまず眠っている蓮さん。季節は夏、寝苦しいこの季節。蓮さん以外の4人はワイルドに掛け布団を取っ払っているが、蓮さんは綺麗に掛け布団を掛けたままお眠りになられている。そして樋熊先生の寝起きドッキリのどでかいシンバル音が響き渡った時も、蓮さんは声ひとつあげず、スッと起きる。スッと。育ちの良さが拭いきれていない。彼はもしかしたら温室育ちの薔薇なのだろうか。一方その頃青島ちゃんは、その爆音に反応は示すもののほとんど目も開いていない状態。朝は弱いタイプの低血圧人間なのであろう。
※ここからは私のクソ妄想だが、樋熊先生が去った後青島ちゃんはまたきっと秒で眠りに入っただろう。そして蓮さんが優しいあの声で「ひろと、起きて」と青島ちゃんの体を軽く揺らしたりして起こそうと励むのだ。あぁ、蓮さんは、なんという良妻なのだろうか。日本の妻の鏡である。

二人は古き良き日本の夫婦なのだろう。

次に、プライドと意地に苦しめられる井川きゅんについて。

井川きゅんは吹奏楽部の名門・明宝高校の受験に失敗したという過去のトラウマを今でも引きずっており、さらに父親からの威圧も相まって、それは井川きゅんにとって大きなコンプレックスとなってしまっている。そんな彼のコンプレックスと、妙に高いプライドと、自分は他の部員よりも達観しているという無駄な自信、そして自分が入れなかった明宝高校へ勝ちたいという意地。それらは日々井川きゅんを苦しめ続けている。井川きゅんはその無駄に高いプライドのせいで、自分は美崎高校のような低レベルな吹奏楽部で演奏する人間ではない、他の部員たちと一緒にされては困る、という思いを抱えている。そして青島ちゃん達のことは最初からあまりよく思ってはおらず、ますますそんな美崎高校吹奏楽部にいる自分が許せない、という思いもあるのだろう。そんな中合宿では後から入ってきた蓮さんに1stの座を奪われ行き場のない不満が溜まっていく井川きゅん。その後、明宝高校の生徒であり、かつての同級生の思惑にまんまと嵌められ、喫煙(未遂)にまで手を伸ばしてしまうこととなる。その喫煙(未遂)シーンを写真に収める性格の悪い明宝高校野郎たち!頼むからこれ以上井川きゅんをいじめないであげてくれ。頼む。と泣きそうになった。(私が。)「ぼくはすってない!」と泳いだ目で必死になる真面目っ子優等生の井川きゅんに庇護欲が非常に掻き立てられてた。最高だ。そんなこんなでその井川の喫煙(未遂)ショットが問題となるわけだが、もちろん樋熊先生は井川きゅんを責めることはしないし、全面的に自分の生徒を信用しているし、自分の生徒を守るためなら多少の無理もする。そんな樋熊先生の必死な姿に井川きゅんは少しずつ心を溶かしていくのだ。また、井川きゅんの闇を救った救世主はもう一人いる。

そう、蓮さんである。

では続いて。蓮さんが初めて見せた先輩らしい一面について。

先ほどの続きだが、井川きゅんのそのだいぶめんどくさい性格のせいで構築されたガチガチの人間性とバカ高いプライドをスッと溶かしたのは蓮さんだ。思い出して欲しい、あのシーンを。樋熊先生の必死の説得もガン無視で明宝高校の生徒たちを乗せたバスが出発してしまうという瞬間だ。あの五人がなんと走るバスの目の前に立ち塞がり、青島ちゃんが「樋熊の……先生の話がまだおわってねぇだろ!」と叫んだ(よっ!さすが樋熊チルドレン!)シーンである。注目すべきはその後、樋熊先生に「退きなさい」と諭された5人だったが、蓮さんがこう言い返すのだ。

「退いたら井川が悪者になっちゃうよ」

蓮さんは優しくて強い瞳、声色でこう言い放った。(これは癖になる。)どうしてこの人たちは自分のためにここまでしてくれるのだろうか。自分が今まで守ってきたものとは一体なんなのだろうか。自分とはなんとちっぽけな人間だったのだろうか。そう井川きゅんは考え直したのではないか。きっと蓮さんのこの言葉によって彼の今までの色んなモヤモヤは浄化されただろう。
その証拠にこの後の井川きゅんは、
「……せ、…せんぱい……っ……♡」

いや、完全に蓮さんに惚れてるーーー!?蓮さんを見る目が完全に少女漫画のヒロインで驚いた。もうすっかり井川きゅんもこっちの人間である。(違う)
そしてその後の練習の際、やはり1stとしてありたい井川きゅんは皆の前で蓮さんに頭を下げ、3rdとの交代を懇願するのだが、蓮さんの「いいよ。」の言い方が聖母だ。全てを包み込んでくれる、そんな心地よさと優しさでできている。さすが日本の良き妻だ。今まで心のどこかでバカにしていた自分の部活であり、自分の居場所をきちんと好きになることができた。やはりそこでは“自分が1stとして演奏したい”というのが彼なりの意地でありプライドだったのだろう。やはり井川きゅんは意地っ張りでプライドが妙に高い。が、今回を通してそれがいい方向へと向いたので良いのではないだろうか。蓮さんはそういう井川きゅんの葛藤を全て分かった上で優しくしてくれるのだからいい先輩すぎる。蓮さん、めちゃくちゃに先輩だ。井川きゅんが惚れるのも無理はない。

次、ホルン吹く木部のばぶみがぺろい件について。
見出しのクソ感がすごい。これは本当にこれだけの話なのだ。
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一生懸命ホルン吹く木部の横顔がばぶすぎる。めちゃくちゃに可愛い。いとおしい。ぺろい。3話まで木部のこのばぶみに気付けなかった自分が憎い。以上。

と、いうわけで(?)4話も最高なドラマだった。
第5話は引き続き井川きゅん問題と樋熊先生のお身体の調子が気になるところである。




『明日もきっと、君に恋をする。』感想。【この世界はいつだって美しい】


絶賛真剣佑さん沼にズブズブなので、この勢いでFODオリジナルドラマ『明日もきっと、君に恋をする。』を観た。

あらすじとしては、理想の美青年・翔太(真剣佑)に出会ったことで、「今日」という日を繰り返すこととなったユキ(仁村紗和)の不器用だが全力で一途でちょっぴり切ないタイムループ恋愛ファンタジー、といったところだろうか。

※以下ネタバレ注意

この作品は、設定がいまいちわからない。登場人物たちの、年齢も職業も過去にどんなことがあったとかもわからない、わかるのは名前くらいだ。でもわからなくてもいい。わかりたくない。わからないからこそ、この少し不思議でおとぎ話のような美しい世界に私たちは入り込むことができるのではないだろうか。

全体の世界観は、ユキのタイムループが軸となっているため、非現実的でファンタジックだが、彼らは非常に人間臭くてリアルに生きている様を演じている。そのいい意味でのアンバランスさが面白い。
例えば真剣佑さん演じる翔太はどこか無気力で毎日を諦め、孤独を抱きなから生きている青年。でもユキに対して見せる顔はただの1人の「男の子」だ。ユキと仲良さげな他の男に嫉妬もするし、会いたいときはしつこいくらい追いかけるし、欲に任せてユキを抱いたりもする。真剣佑さん自身もどこか無機質な翔太の雰囲気に似ている部分があるため、その生々しい「男の子」の部分を見せつけられると、ドキッとした。真剣佑さんのような無機質的な美しさが見せる、欲望とか嫉妬とか嫌悪とか後悔とか、人間臭くて歪んだその表情はたまらなく綺麗で興奮した。
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ユキと仲の良さげなカフェの店員・板(柳俊太郎)に嫉妬の表情を見せる翔太。かわいい。
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翔太の家を退出しようとするユキを引き止める翔太のこの筋張った腕。盛り上がった筋肉。たまらん。
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そしてユキを力強く抱きしめキスをする。翔太が初めて見せた、欲望に任せた本能的な部分。あぁ、、、ずるい。こんなの見せておいて、2人には明日が来ないなんてそりゃ泣くわ。切なすぎる。
またユキは朝起きたら「今日」で、自分だけ「今日」ばっかを繰り返していて、自分だけ「今日」から抜け出せなくて、一人ぼっちで寂しくて。
そんな寂しさを誰にもわかってもらえなくて一番わかってほしい翔太にも言えなくて、どうやったらこの孤独が終わるのかもわからなくて。
そんな辛さを抱えながら必死に翔太を振り向かせようと努力する一生懸命なユキちゃんはとてもかわいい。一生懸命なのに伝わらない、あぁ、もどかしい!
最後は結局、また「奇跡」が起こった。きっと翔太にとってはただの「明日」だったのだろうけど、ユキにとってそれはずっと願い続けていた「明日」だ。なにがどうなって、ユキはタイムループしたのかとかどうして突然タイムループが終わったのか、とかどうでもいい。だってこれは一種のおとぎ話だからだ。秘密の王子と姫の美しい世界。この世界はいつだって美しいのだ。

真剣佑さんはこんな美しい世界の登場人物として当てはまりすぎている。でもただのおとぎ話としてだけでなくて現実味も出す表情、声色、目つきの上手さ。やはり彼は天才だ。好きだ(軽率)。


私の好きなシーン。

翔太「どうして俺と一緒にいてくれんの?」
ユキ「前から決めてたから。」
翔太「…なにそれ。」

このシーンになんだか全てが詰まっているような、そんな気がする。


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日曜劇場『仰げば尊し』が良い【真剣佑が美しい】


TBS日曜劇場『仰げば尊し』が予想だにしていなかった良質ドラマだった。


いわゆる吹奏楽部版の『ROOKIES』のようなもの、と言ってしまえばわかりやすい。熱血教師の樋熊(寺尾聰)が音楽を通して荒廃した生徒たちの心に触れていき、みんなで一致団結して高め合っていく、という何ともベタな設定な学園ドラマだ。


しかしやはり“ベタ”は最高だな、とこのドラマを見て私は改めて思った。


この時代に、このベタすぎる設定で真っ向から勝負して、見る人見る人の心を掴んでいくこのドラマ。「あぁ、これだよ、ドラマってこういうのだよな」と久々にそんな風に思わせてくれた作品のような気がする。


早く次回が見たい!一週間も待てない!とうずうずして、放送時間になったらワクワクしながらテレビの前で待機する。いつからか忘れてしまっていたこの感覚を取り戻せた。


この『仰げば尊し』の魅力はまず客観的目線から言うと各々の役者の演技力が非常に安定的であることに言える。


このドラマは、時代に推されてる若いイケメン俳優とかではなく、場数を踏んできた実力派俳優の寺尾さんが主演だ。

少し不思議で奇怪だが誰よりも熱く真っ向から生徒たちとぶつかる教師役を、寺尾さんはどこか淡々と、でも観てる人の心を動かすような表情で演じてみせる。

主演はドラマの中での中心、視聴者の多くの視点となる存在。それが安定的であるがゆえ、私たちは安心して心地よくその物語の中に吸い込まれ、楽しむことができる。見てる人を知らぬ間に夢中にさせる、そんな芝居を彼はなんてことのないようにこなすのだから、さすがだ。


そしてさらに言うと生徒役の役者の演技力も褒めるべき点だと思う。まず、学校の中で最も教師団の手を焼くワル5人組。

その中でも彼らの中の中心的存在、青島(村上虹郎)とクールキャラの木藤良(真剣佑)のコンビが良い。

村上さん演じる青島は、彼らの中で最も喧嘩っ早くて強くて豪快で、でも一番繊細で、すぐに消えて無くなってしまいそうな儚い雰囲気を醸し出している。

そんな独特の空気感をうまく出しながらきちんとはまった演技をしている村上さん。

青島の強い部分も弱い部分も全部ひっくるめて吸収しているからあの空気感が出せるんだろう。きっとたくさん考えて、たくさん努力して、たくさん青島と向き合ったからできることだ。それが私たちにも伝わってくる。


一方、真剣佑さん演じるクールキャラの木藤良。彼は5人の中では一番無口で大人しく、物腰も柔らかい。そんな彼だが時々“人を殺すようなとんでもない目”をしている。

その目は彼の過去とか闇とか弱さとか強さとか不安とか期待とか欲望とか、何を含んでいて何を物語っているのか、私にはわからない。でもゾクゾクする。一見優しそうな彼、でも一番何を秘めているか、そんな木藤良の魅力を全面に出せるのは彼自身も謎めいた雰囲気を持つ真剣佑さん以外いないだろう。

真剣佑さんの声色の選び方は天才だ。今回の木藤良の声のトーンはいちいち聞いていて鳥肌が立つ。他の人たちに比べて、優しい。優しいのに、ものすごい狂気を感じる。木藤良はきっと、怖くて寂しい人だ。木藤良自身にしかわからない彼の部分を、声色だけで垣間見せてみせる、真剣佑さん。すごい。


そして他の3人も、高校生なりにプライドがあって、でも無邪気で、仲間が好きで、色んなものの狭間の中で悩みながら毎日を過ごしてる、そんな若者らしさをうまく演じている。


例えば一番最初に吹奏楽部に入部の意向を示した安保(北村匠海)は最も5人でいっしょにいることが好きで、あの頃みたいに5人で何かを創り上げること、汗を流すこと、笑うこと、どこかを目指すことがしたい。だからこそ自分から一番最初に吹奏楽部に入り、青島にも知ってほしいこの気持ちをぶつけようとしたけれど上手くいかない。そんな葛藤が若者らしくて、良い。

5人ともそのベタなキャラクター設定に自分を当てはめるのが上手いし、演技力も若いながら安定しているので、私たち視聴者が感情移入しやすく物語を楽しませてくれるのだ。


第3話の終盤では結局5人とも吹奏楽部に入部することになるのだが、これからの展開としては吹奏楽部での彼らと、他の部員や樋熊との衝突、関係性。そして音楽の甲子園と呼ばれるコンクールへの出場への努力の道のり。どんな未来が彼らを待っているのか、まるで私たちもその物語の1人かのようにワクワクできるドラマ。今後にもさらなる期待だ。



ここからは私の主観100%のクソみたいな感想というか変態的視点から見た魅力だが、、、



まぁなんといっても、

真剣佑さんが美しい。


私が初めて彼を見たのは2年前ほどだろうか。とあるバラエティ番組にて外国で闘牛をするという企画に挑戦する彼の姿を見た。まず第一印象は「顔面がきれい。」以上。

顔面がきれい。とにかくめちゃくちゃにきれい。どこをどうとっても欠点の見つからない美しさ。凛々しい眉毛、力強い瞳、通った鼻筋、形のいい唇、あぁ美しい。「黄金比」ってこういうことを言うのだろうな。数学の成績が底辺の文系女の私でさえもそう理解できたほどの美しさ。当時彼はまだ17歳で今よりも少しだけ線が細かったが、でもその顔の美しさからは想像できない男らしい身体に息を飲んだのも覚えている。そして闘牛に果敢に向かう彼は身体以上に(?)精神も男らしかった。軽率に惚れた。


それから2年ほど経ち、メディアで彼を見ることは増えたがいまいち彼の出演している作品を見る機会がなく、今回たまたま見始めたこの『仰げば尊し』に出演しているというのも知らなかった。


なので、黒髪美少年という確固たる彼のイメージからかけ離れた金髪の不良高校生を演じている姿に驚いた。

と、同時に金髪の真剣佑さんの美しさにも恐れおののいたのだ。


もともと美しいのは百も承知であったが、金髪にして前髪をあげるというハードルの高い髪型を全面的に味方にし、自身の神々しい顔面をさらに引き立たされている、なんてすごいことなんだ、ここにきてさらに魅力に磨きをかけるなんてどこまで恐ろしい男なんだと身震いした。


そしてその美しさで演じるのがあの木藤良。あまり喋らないが、立っているだけで圧倒的存在感。圧倒的顔面力。なのに口を開けば「〜だよね」とか「〜なの?」と、とにかく物腰が柔らかく優しい。罪だ。ずるすぎる。そこに先ほども述べたように木藤良の狂気的な部分もうまく含ませている。そこもたまらなく魅力的だ。


さらに言えば青島役を演じる村上虹郎さんとのコンビは至高だ。


二人ともに弱い部分も強い部分もあり、厚い壁を持っていて、仲間が好きで、似ていないようで似ている木藤良と青島。


お互いに孤独なようで周りの支えがないと生きていけなくて、すぐ壊れてしまいそうで、きっと彼ら二人は意識しない内にどこかで依存し合っているのだろう。


共依存的な彼らの関係は、美しい。

お互いに壊れないように、崩れないように、触れてはいけないところに触れないように、近いようで一番遠い存在なのかもしれない。


この独特の相乗効果から生まれる二人の雰囲気は、ドラマに華を添えている。


最高だ。


とにかく最高のドラマだ。



第4話まであと3日。この3日が待ちきれない。久々のこの感覚をありがとう。