私の少年

この世界は美しい

日曜劇場『仰げば尊し』が良い【真剣佑が美しい】


TBS日曜劇場『仰げば尊し』が予想だにしていなかった良質ドラマだった。


いわゆる吹奏楽部版の『ROOKIES』のようなもの、と言ってしまえばわかりやすい。熱血教師の樋熊(寺尾聰)が音楽を通して荒廃した生徒たちの心に触れていき、みんなで一致団結して高め合っていく、という何ともベタな設定な学園ドラマだ。


しかしやはり“ベタ”は最高だな、とこのドラマを見て私は改めて思った。


この時代に、このベタすぎる設定で真っ向から勝負して、見る人見る人の心を掴んでいくこのドラマ。「あぁ、これだよ、ドラマってこういうのだよな」と久々にそんな風に思わせてくれた作品のような気がする。


早く次回が見たい!一週間も待てない!とうずうずして、放送時間になったらワクワクしながらテレビの前で待機する。いつからか忘れてしまっていたこの感覚を取り戻せた。


この『仰げば尊し』の魅力はまず客観的目線から言うと各々の役者の演技力が非常に安定的であることに言える。


このドラマは、時代に推されてる若いイケメン俳優とかではなく、場数を踏んできた実力派俳優の寺尾さんが主演だ。

少し不思議で奇怪だが誰よりも熱く真っ向から生徒たちとぶつかる教師役を、寺尾さんはどこか淡々と、でも観てる人の心を動かすような表情で演じてみせる。

主演はドラマの中での中心、視聴者の多くの視点となる存在。それが安定的であるがゆえ、私たちは安心して心地よくその物語の中に吸い込まれ、楽しむことができる。見てる人を知らぬ間に夢中にさせる、そんな芝居を彼はなんてことのないようにこなすのだから、さすがだ。


そしてさらに言うと生徒役の役者の演技力も褒めるべき点だと思う。まず、学校の中で最も教師団の手を焼くワル5人組。

その中でも彼らの中の中心的存在、青島(村上虹郎)とクールキャラの木藤良(真剣佑)のコンビが良い。

村上さん演じる青島は、彼らの中で最も喧嘩っ早くて強くて豪快で、でも一番繊細で、すぐに消えて無くなってしまいそうな儚い雰囲気を醸し出している。

そんな独特の空気感をうまく出しながらきちんとはまった演技をしている村上さん。

青島の強い部分も弱い部分も全部ひっくるめて吸収しているからあの空気感が出せるんだろう。きっとたくさん考えて、たくさん努力して、たくさん青島と向き合ったからできることだ。それが私たちにも伝わってくる。


一方、真剣佑さん演じるクールキャラの木藤良。彼は5人の中では一番無口で大人しく、物腰も柔らかい。そんな彼だが時々“人を殺すようなとんでもない目”をしている。

その目は彼の過去とか闇とか弱さとか強さとか不安とか期待とか欲望とか、何を含んでいて何を物語っているのか、私にはわからない。でもゾクゾクする。一見優しそうな彼、でも一番何を秘めているか、そんな木藤良の魅力を全面に出せるのは彼自身も謎めいた雰囲気を持つ真剣佑さん以外いないだろう。

真剣佑さんの声色の選び方は天才だ。今回の木藤良の声のトーンはいちいち聞いていて鳥肌が立つ。他の人たちに比べて、優しい。優しいのに、ものすごい狂気を感じる。木藤良はきっと、怖くて寂しい人だ。木藤良自身にしかわからない彼の部分を、声色だけで垣間見せてみせる、真剣佑さん。すごい。


そして他の3人も、高校生なりにプライドがあって、でも無邪気で、仲間が好きで、色んなものの狭間の中で悩みながら毎日を過ごしてる、そんな若者らしさをうまく演じている。


例えば一番最初に吹奏楽部に入部の意向を示した安保(北村匠海)は最も5人でいっしょにいることが好きで、あの頃みたいに5人で何かを創り上げること、汗を流すこと、笑うこと、どこかを目指すことがしたい。だからこそ自分から一番最初に吹奏楽部に入り、青島にも知ってほしいこの気持ちをぶつけようとしたけれど上手くいかない。そんな葛藤が若者らしくて、良い。

5人ともそのベタなキャラクター設定に自分を当てはめるのが上手いし、演技力も若いながら安定しているので、私たち視聴者が感情移入しやすく物語を楽しませてくれるのだ。


第3話の終盤では結局5人とも吹奏楽部に入部することになるのだが、これからの展開としては吹奏楽部での彼らと、他の部員や樋熊との衝突、関係性。そして音楽の甲子園と呼ばれるコンクールへの出場への努力の道のり。どんな未来が彼らを待っているのか、まるで私たちもその物語の1人かのようにワクワクできるドラマ。今後にもさらなる期待だ。



ここからは私の主観100%のクソみたいな感想というか変態的視点から見た魅力だが、、、



まぁなんといっても、

真剣佑さんが美しい。


私が初めて彼を見たのは2年前ほどだろうか。とあるバラエティ番組にて外国で闘牛をするという企画に挑戦する彼の姿を見た。まず第一印象は「顔面がきれい。」以上。

顔面がきれい。とにかくめちゃくちゃにきれい。どこをどうとっても欠点の見つからない美しさ。凛々しい眉毛、力強い瞳、通った鼻筋、形のいい唇、あぁ美しい。「黄金比」ってこういうことを言うのだろうな。数学の成績が底辺の文系女の私でさえもそう理解できたほどの美しさ。当時彼はまだ17歳で今よりも少しだけ線が細かったが、でもその顔の美しさからは想像できない男らしい身体に息を飲んだのも覚えている。そして闘牛に果敢に向かう彼は身体以上に(?)精神も男らしかった。軽率に惚れた。


それから2年ほど経ち、メディアで彼を見ることは増えたがいまいち彼の出演している作品を見る機会がなく、今回たまたま見始めたこの『仰げば尊し』に出演しているというのも知らなかった。


なので、黒髪美少年という確固たる彼のイメージからかけ離れた金髪の不良高校生を演じている姿に驚いた。

と、同時に金髪の真剣佑さんの美しさにも恐れおののいたのだ。


もともと美しいのは百も承知であったが、金髪にして前髪をあげるというハードルの高い髪型を全面的に味方にし、自身の神々しい顔面をさらに引き立たされている、なんてすごいことなんだ、ここにきてさらに魅力に磨きをかけるなんてどこまで恐ろしい男なんだと身震いした。


そしてその美しさで演じるのがあの木藤良。あまり喋らないが、立っているだけで圧倒的存在感。圧倒的顔面力。なのに口を開けば「〜だよね」とか「〜なの?」と、とにかく物腰が柔らかく優しい。罪だ。ずるすぎる。そこに先ほども述べたように木藤良の狂気的な部分もうまく含ませている。そこもたまらなく魅力的だ。


さらに言えば青島役を演じる村上虹郎さんとのコンビは至高だ。


二人ともに弱い部分も強い部分もあり、厚い壁を持っていて、仲間が好きで、似ていないようで似ている木藤良と青島。


お互いに孤独なようで周りの支えがないと生きていけなくて、すぐ壊れてしまいそうで、きっと彼ら二人は意識しない内にどこかで依存し合っているのだろう。


共依存的な彼らの関係は、美しい。

お互いに壊れないように、崩れないように、触れてはいけないところに触れないように、近いようで一番遠い存在なのかもしれない。


この独特の相乗効果から生まれる二人の雰囲気は、ドラマに華を添えている。


最高だ。


とにかく最高のドラマだ。



第4話まであと3日。この3日が待ちきれない。久々のこの感覚をありがとう。